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応用数学とは?

数学という学問にはみなさん馴染みがあると思いますが、応用数学とはどのような学問なのでしょうか?応用数学を定義するなら、「数学の理論や手法を他分野へ応用できる形に整備したり、実際に他分野へ応用したりする学問領域」といったところになるでしょうか。

歴史を見ると、数学と他分野の結びつきに関する「自然という書物は数学の言葉で書かれている」というガリレオの有名なことばがあります。分かりやすいことばでいいかえれば、自然の法則や規則は数学の式で書くことができる、といってよいでしょう。実際、ガリレオは落下する物体の法則などを、数学を使って記述しました。さらに、応用数学の発展にはニュートン力学が大いに関係しています。微積分、微分方程式などの新しい分野がニュートン力学へ応用するために整備されました。つまり、既存の「数学の言葉」では足りず、微積分、微分方程式などの新しい「数学の言葉」を作って自然法則を記述したことになります。このころの応用数学とニュートン力学の関係は非常に密接で、19世紀中頃まで応用数学者とニュートン力学の研究者の間に明確な区別はありませんでした。このようなことから、上の定義でいえば最初の「他分野」は力学であったといえるでしょう。

その後、「他分野」は電磁気学、流体力学、量子力学、相対性理論など物理学のその他の分野、さらには物理学以外の分野にも及び、現在の応用数学は非常に多くの分野と関連を持っています。物理学、化学、生物学などの理学の伝統的な分野のほか、コンピュータサイエンス、データサイエンスやAIなどの新しい分野、また、制御、機械、通信などの工学のいろいろな分野、さらに、経済学を始めとする社会科学など文系の分野も「他分野」に入ります。

非常に多くの「他分野」が登場しますが、幸いなことに、分野が異なっても同じ「数学の言葉」、つまり、同じ数学の理論や手法が利用できることはよくあります。一番利用できるのは微積分と線形代数でしょう。そこで本学科では、まず、1年生で微積分と線形代数、コンピュータを利用するときに必要となるプログラミングを学びます。その後、データサイエンスを支える統計学、シミュレーションなどで活躍する数値計算とそのアルゴリズム、コンピュータに知的な処理を行わせる際に基礎となる離散数学やコンピュータサイエンスなどを学習します。このようにして幅広い「他分野」に対応できる応用数学の力をつけてもらうことが本学科の教育の目標です。

応用数学イメージ図

学びの分野

※ 数理データサイエンス、数理モデリング、知能数理は、2023年度からの名称です。

数理データサイエンス
分野

実社会で取り扱われている「データ」の分析手法を探求する学問領域です。複雑な現象を統計的に予測・解明するために、様々な統計手法の数理的内容を深く学び、数学的に解く理論と方法論を学習します。

数理モデリング分野

自然科学、社会科学等における複雑な現象の本質を理解・予測するための数学的なモデル化やコンピュータシミュレーションに関する学問領域です。定式化や解析、計算アルゴリズムの設計・開発等、基礎理論から応用・実践まで総合的に学習します。

知能数理分野

コンピュータに知的な処理を行わせるための理論と実践を探求する学問領域です。基盤としての数学やコンピュータサイエンスから、対象である数式や自然言語などの処理まで、幅広く学習します。

カリキュラム

応用数学科では、数理データサイエンス・数理モデリング・知能数理の3分野の基礎から専門的な内容までを一貫して学習するために以下のようなカリキュラムを編成しています。4年次で行う卒業研究では3年次までの科目に比べ、より能動的な学習姿勢が求められます。

必修科目 選択必修科目 選択科目
1年次
  • 微積分1・2及び演習
  • 線形代数1・2及び演習
  • プログラミング基礎1・2及び演習
  • コンピュータ入門
  • 応用数学入門
  • 物理学1・2/化学1・2/生物学1・2
2年次
  • 続微積分1・2
  • 続線形代数1/代数学
  • 微分⽅程式論1
  • プログラミング
  • 有限幾何学
数理データサイエンス系
  • 数理統計学基礎1及び演習
  • 数理統計学基礎2及び演習
  • 統計データ解析
数理モデリング系
  • 数値解析基礎1及び演習
  • 数値解析基礎2及び演習
知能数理系
  • コンピュータ数学基礎1及び演習
  • コンピュータ数学基礎2及び演習
3年次
  • 応用数学研究1・2
  • 位相空間論/複素関数論1・2
  • 微分方程式論2
  • 計算代数/続線形代数2
  • 続解析学1・2/関数解析
  • 数学科教育論1・2/教育工学
  • 応用数学特別講義1~3
統計数理系
  • 数理統計学
  • 数理データサイエンス
  • 応用確率論1・2
  • 多変量解析/実験計画法
  • 統計モデリング
  • データ処理
計算数理系
  • 数値解析
  • 数理モデリング
  • 最適化理論1・2
  • 計算数学/数理計画法
  • オペレーションズ・リサーチ
情報数理系
  • 情報理論/符号理論/情報処理
  • マルチメディア概論
  • ⼈⼯知能/知能情報
  • 機械学習
  • 量⼦情報
  • ソフトウェア科学
  • 離散数学/グラフ理論
  • アルゴリズム論/計算幾何
4年次
  • 卒業研究
カリキュラム
(2022年度入学者用カリキュラム)

取得できる
教員免許状・認定書

取得できる教員免許状

応用数学科では、中学校教諭一種(数学)と高等学校教諭一種(数学・情報)の教員免許状が取得できます。また、大学院(応用数学専攻)では、中学校教諭専修(数学)と高等学校教諭専修(数学)の教員免許状が取得できます。教員免許状を取得するためには、卒業するために必要な単位に加え、教職課程科目の単位の取得が必要となります。教職課程科目についてはこちらをご覧ください。

なお、応用数学科を含め東京理科大学では、教職課程の履修が1年次より始まります。教職課程を履修するには、教職課程登録が必要です。教職課程についての詳細はこちらをご覧ください。

データサイエンス教育プログラム

現代社会は多種多様なデータで溢れかえっています。そのデータから価値ある情報を見出し、データに基づいて合理的な判断を行うことを可能とするデータサイエンティストが社会では求められています。本学では、データサイエンスに関する基礎知識や応用力を身につけるため、データサイエンス教育プログラムが導入されています。データサイエンス教育プログラムは、学部生対象の「基礎」、そして大学院生対象の「専門」の2種から構成されています。

データサイエンス教育プログラム
「基礎」(学部生対象)

データサイエンスに関する基礎知識やリテラシーを学修する教育プログラムです。本プログラムに関する科目の単位取得により、修了要件を満たした場合には、本学オリジナルの「データサイエンス認証書[基礎](Data Science Certificate [Basic])」を授与します。

Society5.0で活躍する人材
■Society 5.0とは

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。(「内閣府」より)

■SDGsとは

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。(「外務省」より)

データサイエンス教育プログラム
「基礎」の修了要件

5つの各分野[①数学、②統計学、③情報学、④データサイエンス、⑤その他(学科特有のデータを扱う授業)]からそれぞれ4単位をB評価以上の成績で合格(合計20単位)すること。

応用数学科の学生は、他学科開講の講義を履修しなくても、卒業に必要な応用数学科独自の科目のみで、修了要件を満たせば認定証を取得できます。

認定証サンプル
分 野 定 義
①数 学 微分積分と線形代数に関する内容を含む科目を配置する分野
②統計学 統計学に関する内容を含む科目を配置する分野
③情報学 プログラミング言語を一種類以上学修できる科目を配置する分野
④データ
サイエンス
ITを利用してデータ解析を学修できる科目を配置する分野
⑤その他
(学科特有のデータを扱う授業)
学科特有の「データの扱い方を学修できる」科目を配置する分野

データサイエンス教育プログラム
「専門」(大学院生対象)

データサイエンスに関する専門的な知識・技術を学修することができる教育プログラムです。本プログラムは各キャンパスの特色を活かしたコース制としており、コースに配置されている科目の単位取得により、修了要件を満たした場合には、本学オリジナルの「データサイエンス認証書[専門](Data Science Certificate [Applied])」を授与します。

Society5.0で活躍する人材 for SDGs
データサイエンス教育プログラム
「専門」の修了要件

コースごとに設定する科目からで8単位(実データを扱う科目(1科目以上)の単位取得必須)をB評価以上の成績で合格すること。

認定証サンプル2
神楽坂キャンパス 数理コース、ビジネスコース
野田キャンパス 人工知能コース、医薬コース
葛飾キャンパス 機械学習コース、医療統計コース、Informatics コース

こんなところに応用数学

応用数学と聞いて、どんな学問なのか、またどんなところで役立っているのか、なかなかイメージが湧きにくいかもしれませんが、実は私たちの身近なところや、社会の様々なところで力を発揮している学問なのです。本学科の教員が応用数学の魅力について紹介しますので、応用数学を身近に感じるとともに、その面白さも知ってください。

第3回:
統計的仮説検定とは

統計科学は、数理データサイエンス分野の中核であり、自然科学や社会科学を問わず多くの分野で用いられています。また日常生活の中でAI やビッグデータ、機械学習といった言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、それらにも深く関係する分野となっています。そして、コンピュータやソフトウェアの急速な進歩に伴い、データ解析がだれでも手軽にできるようになり、間違った分析や解釈をしないためにもますます統計科学の理論の理解が重要になってきています。ここでは、その統計科学の重要な考え方のひとつである「統計的仮説検定」についてお話します。この統計的仮説検定の考え方は、高校数学の新しい数学 I や数学 B でも取り扱われる内容です。

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過去のコラム一覧

第2回:
多項式の乗算を高速に計算する方法

第1回:
個体数の変動に関する数理モデル