でたらめに見えるデータであっても、統計学の手法によりデータの規則性を知的発見することが可能となります。これを数理的に表現することで、対象物に対してどんな要素が作用しているか推論が可能となります。特に本研究室では統計モデルの中で分類モデルに注目しています。
本研究室では、あらゆる分野で適用されている統計学の中で、多次元データを取り扱う多変量解析の理論や分析法の研究を行っています。また、実際のデータ解析の中には、データが何らかの理由で欠落している場合が多く、欠損値を含むデータの下での統計的手法の開発を行っています。
統計学では不確実な現象を扱うために、ランダムな現象が従う分布が重要になってきます。本研究室では、分布を理論的にあるいは近似的に求めたりする方法の開発を行い、コンピュータによってどう数値計算するかについて研究しています。さらに、抽象モデルの現実問題への適用を目指します。
統計学は、多岐にわたって活用されています。環境問題により生態統計学などが注目されていますが、得られたデータに母集団分布を仮定することは困難です。本研究室では、ノンパラメトリック法と呼ばれる母集団分布に依存しない統計手法の理論構築や開発の研究を行っています。
様々な現象を理解・予測する数値シミュレーションには、数値解析が基礎研究として重要な役割を果たしています。 本研究室では、線形方程式の数値計算、ある種の離散力学系に関する数値計算や安定性解析などに取り組んでいます。
情報理論は今日の情報技術を支える基礎理論の一つです。本研究室では、その中心的概念である情報エントロピーの基礎論とその応用を研究しています。また、次世代の情報技術といわれる量子情報技術の数学的基礎である作用素論を、作用素不等式とその応用を中心に研究しています。
時間発展を記述する数理モデルが非線形性を持つ場合、様々な興味深い現象が起こります。例えば、一見ランダムで予測困難な「カオス」と呼ばれる現象が見られます。これは長期的な気象予測が難しい理由の一つと考えられています。本研究室では、流体力学を中心とする非線形現象を、数値シミュレーションや機械学習を用いて研究しています。
自然や社会で起こる現象を数理モデル化すると、頭打ちや爆発的増加という、比例関係つまり線形では捉え切れない非線形現象に出会います。その原因を解析し、予測・計画する時の目標が最適化です。コンピュータでなるべく効率よく解を求めるために、問題の構造や解法を研究しています。
組合せ最適化問題は、問題の解が定義される空間や制約などが離散的である問題で、社会で現れる様々な問題は組合せ最適化問題として表現できます。例えば、服の紙型やガラスを切り出す配置問題、巡回路を求める配送計画問題など実用的な問題があります。本研究室では組合せ最適化問題に対して実用的な解法の開発を目指しています。
数式処理システムと呼ばれるソフトウェアを利用すると、コンピュータで因数分解や積分などの高度な計算が可能になります。本研究室では、数式処理システムの基礎となる理論の研究や、数式処理システムを用いて自然科学や工学の問題を解決する研究に取り組んでいます。
日本語・中国語・英語といった人間の言語をコンピュータで扱うこと、また、ことばを上手く扱うソフトウェアの開発を通じて、人間の言語についてよりよく理解することが研究テーマです。統計にもとづくデータからの学習と、数理論理を基礎とする記号的モデリングを両輪として研究を進めています。
「計算機に数学をさせる」ことを目指し、代数的算法の設計、解析、実装から応用までを行っています。計算機代数(数式処理)という研究分野で、昔ながらの計算を主体とした代数学と計算機科学が融合したものです。今現在、計算機を介することで多くの抽象的だった数学を ``こねくり回す’’ ことができるようになってます。